「若い指揮者への20の提言」尊敬する指揮者、ピエール・モントゥー先生のお言葉です。いつも肝に銘じています。 ピエール・モントゥーによる「若い指揮者への20の提言」 「守るべき8項目」 1、まっすぐに姿勢を正すこと、もし君の背が高い場合でも。 2、ピアニッシモの時でも、かがんではいけない。背中にそれがはっきりと現れる。 3、ステージに出た時からいつも威厳を保っていること。 4、いつも指揮棒で指揮すること、そうすれば遠くにいる楽員でも君の拍子がよく理解できる。 5、スコアーを完全に熟知すること。 6、けっして聴衆のために指揮してはいけない。 7、いつも小節の第1拍をはっきり振ること、そうすれば演奏せずに数えている楽員たちも、 自分のいるところがはっきりわかる。 8、2拍子の場合、2拍目を第1拍より高く振ること。4拍子の時は、4拍目を高く振ること。 「してはいけない12項目」 1、大袈裟な指揮をしてはいけない。不必要な動作や身振りをするべきではない。 2、音楽的に不充分な演奏をしてはいけないし、 音楽を沈滞した活気のないままに放置してはいけない。 どんなフレーズでもないがしろにすべきではないし、 楽曲全体の中でのその欠くことのできぬ役割を見落としてはいけない。 3、機械的な速度に知ったかぶりで固執してはいけない~ 主題あるいはフレーズによってテンポを変え、それぞれに独自の個性を与えるべきだ。 4、オーケストラがいつも退屈なメゾ・フォルテで演奏するままにしておいてはいけない。 5、指揮棒なしに指揮してはいけない。指揮しながら前こごみになってはいけない。 6、独奏楽器がソロを演奏している時は指揮してはいけない。難しいパッセージの時でも、 特定のパートや楽員たちばかり見て心配させたりいらいらさせてはいけない。 7、たとえそのパートが外見上重要さの少ない内声の場合でも、 長い休止のあったセクションや楽員たちに入りの指示を忘れてはいけない。 8、もしスコアーをまだマスターしていなくても、オーケストラより早く現れてはいけない。 またオーケストラを使ってスコアーを練習したり学んではいけない。 9、何もいうことがない時はオーケストラを止めてはいけない。 オーケストラにはあまり小声で話したり、また前列の者だけに話したりしてはいけない。 10、偶然間違った音を弾いたことが明かの時は止めてはいけない。 11、あまりこまかく振ろうとしてアンサンブルを犠牲にしてはいけない。 むつかしいパッセージでも先へ進む必要がある時は制止してはいけない。 12、楽員たちに無礼なことをしてはいけないし、毒づいてはいけない。 各人の人間としての権利を忘れてはいけない。 オーケストラのメンバー達が単に機械の歯車だからといって低く評価してはいけない。 ドリス・モントゥー著 音楽之友社 昭和42年発行 「指揮棒と80年 ピエール・モントゥーの回想」より |